BB86/BB30/PF30など対応 プレスフィットBB専用工具による、静かで簡単なBB圧入&取り外し方法

2020/05/21(木) - 12:35 | bisoh
最近シクロクロスのボトムブラケット(BB)辺りから異音がし始めたので、交換することにした。規格はPF30。今までは圧入と取り外しをそれぞれ別の工具でやっていたのだけど、Amazonにて1セットで両方簡単に出来そうなものを見つけたので買ってみた。いきなり結論から先に書いてしまうと、最高の使い勝手だったのでオススメ。

購入したのは「ACRZ プレスフィットBBボトムブラケット リムーバー&インストレーション」と言う製品。購入時価格で税込み5,500円。工具の各部品が綺麗に収まる専用ケース付きで、BB86/BB30/PF30などの幅広いBB径に対応している。ケースなしや部品点数違いの別の製品もあったけれど、専用ケースがあれば収納時の分類・整頓が楽なのと、自分の使用範囲をカバーしていたので、これに決めた。

プレスフィットBBリムーバー&インストレーション工具の収納ケースプレスフィットBBリムーバー&インストレーション工具の収納ケース (c)BisohプレスフィットBBリムーバー&インストレーション工具の箱を開けたところ。QRコードは使い方動画へのリンクプレスフィットBBリムーバー&インストレーション工具の箱を開けたところ。QRコードは使い方動画へのリンク (c)Bisoh

プレスフィットBBリムーバー&インストレーション一式プレスフィットBBリムーバー&インストレーション一式 (c)Bisoh

この工具が対応するBB規格

この製品が対応するBB規格は、Amazonの製品ページによると以下の通り。

BB86、BB90、BB91、BB92、BB30、BB30A、PF30、PF30A、BBright、BB386

BB91とBB92と言うのは個人的に初見。そんなのあったっけ……?調べると、正式な呼称と言うよりシマノプレスフィットBB系の軸長違いか品番の一部を指しているような雰囲気。BB91と言う規格は検索に上がってこなかったので、シマノの「SM-BB91-42A」の事かも。シェル幅は91mmじゃなくて84.5mmだそうで。で、シェル内径は表記通りの42mmなんだけど、これだけプレスフィットの本来のシェル内径(41mm)と1mm違う謎BB。

BB92はSRAMあたりがこの表記を使っているけれど、どうもシマノプレスフィットBBのシェル幅92mm(91.5mm?)を指すらしい。BB規格乱立しすぎな上に、呼び名もメーカーごとに違っていたりして、調べても余計に頭が混乱するばかり。なお、以上は個人の推測止まりの情報なので、信じないように。

BB90はトレック独自規格、BBrightはROTORとCervéloが採用する独自規格、BB30、BB30Aはシェル幅違いでベアリングやカップは同じ。PF30、PF30A、BB386もシェル幅違いの同規格。あとLook ZED2、SRAM DUB等もあるけど、この工具は非対応。書いてるだけで頭グルグルしてきた……後で表にしようかな。

クランク規格から見た径としては、BB30(30mm)、シマノ ホローテックII(24mm)、SRAM GXP(22mm/24mm)に対応したパーツが付属していると言える。上記のうちBB90はTREKの独自規格で対応軸径24mm、BBrightはRotorとCervéloが使う独自規格で対応軸径30mmなので、ともに付属パーツに適合する。

今回インストールしたBBは、FSAの一番安いPF30BB。4,000円以下で買えるお財布に優しいBB。間にある茶色のスリーブの長さを変えられるので、シェル幅68mm(PF30)、73mm(PF30A)、86.5mm(BB386)のどれにでも使える。

FSA製のPF30BB「BB-PF6000/CZ 200-3112」FSA製のPF30BB「BB-PF6000/CZ 200-3112」 (c)Bisoh

工具セット付属パーツの面々

まずは、この工具セットに付属しているパーツ全てを、その用途とともに写真でどうぞ。各パーツはアルミ削り出しと思われ、強度的にも精度的にも特に問題は感じなかった。むしろしっかりしてるように思う。

3つのBB圧入用リングの表側。30mm径が2つ、25mm径が1つ3つのBB圧入用リングの表側。30mm径が2つ、25mm径が1つ (c)BisohBB圧入用リングの裏側は、シマノ ホローテックIIと SRAM GXPの軸径に対応する24mm、22mm、24mmの3つBB圧入用リングの裏側は、シマノ ホローテックIIと SRAM GXPの軸径に対応する24mm、22mm、24mmの3つ (c)Bisoh

上:8mmアーレンキー、中央左:BBシェル内部に入れる押し棒、中央右:BBカップの周囲を押さえるカップ、下:中央の黒い2つを繋げるボルト上:8mmアーレンキー、中央左:BBシェル内部に入れる押し棒、中央右:BBカップの周囲を押さえるカップ、下:中央の黒い2つを繋げるボルト (c)Bisoh
中央と右のリングは、異なるBBカップ径に対応するシム。左のカップの下に重ねて使う中央と右のリングは、異なるBBカップ径に対応するシム。左のカップの下に重ねて使う (c)Bisoh左2つはベアリング押し。内径30mm用と24mm用。黒いリングはBBカップごとシェル内部から押すためのもの(内径24mmなどのBBで使うっぽい)左2つはベアリング押し。内径30mm用と24mm用。黒いリングはBBカップごとシェル内部から押すためのもの(内径24mmなどのBBで使うっぽい) (c)Bisoh

プレスフィットBBの圧入

本来なら旧BBを外すところから書ければ良かったのだけど、写真も撮らずにこの工具でそれを外し、シェル周りを掃除までしてしまい、再びボロいパーツを付ける気にならず。綺麗な新品BBで着脱の仕方を記すことにした。

基本的な手順は写真で追っていくとわかるかなと(手抜き)。

PF30BBの片割れ(中央)と、その圧入に使う工具パーツたちPF30BBの片割れ(中央)と、その圧入に使う工具パーツたち (c)Bisoh
PF30BB圧入時の各パーツの位置関係はこうなるPF30BB圧入時の各パーツの位置関係はこうなる (c)Bisoh
PF30BBを圧入するために工具をセットPF30BBを圧入するために工具をセット (c)Bisoh付属の8mmアーレンキーでボルトを締め込み、BBカップを圧入していく。かなり軽く回せる付属の8mmアーレンキーでボルトを締め込み、BBカップを圧入していく。かなり軽く回せる (c)Bisoh

逆側のBBも同様の作業を行う逆側のBBも同様の作業を行う (c)Bisohこんな感じこんな感じ (c)Bisoh

PF30のBBカップは柔らかめな樹脂製なので締め込みすぎないよう注意したい(たぶんめり込む)PF30のBBカップは柔らかめな樹脂製なので締め込みすぎないよう注意したい(たぶんめり込む) (c)Bisoh

プレスフィットBBの取り外し 予行演習編

BB取り外し作業が今回の買った工具の本領と言って良い。前回はパークツールのBBリムーバーをセットして、ハンマーでガンガン叩くと言う原始的な手法を用いていたため、フレームやベアリングへのダメージが気になりまくって精神衛生上よろしくなかった。しかし今回は違う!この工具のおかげでものすごく作業も気持ちも楽になった。

ではこちらの手順も写真で(以下略)。

PF30BB本体(中央)と、その取り外しに必要な工具パーツPF30BB本体(中央)と、その取り外しに必要な工具パーツ (c)Bisoh
ベアリング押し板はゴムで連結されていて、曲げたり穴を広げたり出来るようになっているベアリング押し板はゴムで連結されていて、曲げたり穴を広げたり出来るようになっている (c)Bisohベアリング押し板を入れたところベアリング押し板を入れたところ (c)Bisoh

押し棒を押し板の穴に差し込むと、BBの内径にフィットする押し棒を押し板の穴に差し込むと、BBの内径にフィットする (c)Bisoh
PF30BB取り外し時の各パーツ位置PF30BB取り外し時の各パーツ位置 (c)Bisoh
BBの片側を外しても工具パーツの位置関係は同じBBの片側を外しても工具パーツの位置関係は同じ (c)Bisoh

プレスフィットBBの取り外し 本番編

予行演習編を見てわかっちゃった人は、以下は読まなくても出来る。同じ内容を実践してるだけなので…。要するにこれは、忘れっぽい自分用の記録だったりする。

毎日自転車整備をしているショップさんならいざ知らず、たまにしかやらない自分は、次回やる時にたいてい作業手順や細かなパーツの使い方を忘れている。だから、できるだけ多くの状態を記録を残しておいた方が、後々のために良いのである。

それでは本番の写真どうぞ。

PF30BBの取り外し。まず押し板を外す方と逆側の穴から入れるPF30BBの取り外し。まず押し板を外す方と逆側の穴から入れる (c)Bisoh次に押し棒を入れる次に押し棒を入れる (c)Bisoh

押し棒を入れると押し板がベアリング内側にフィットする押し棒を入れると押し板がベアリング内側にフィットする (c)Bisoh外す方の逆側からボルトを差し込む外す方の逆側からボルトを差し込む (c)Bisoh

BBシェル外側を覆うカップをボルトにねじ込んでいくBBシェル外側を覆うカップをボルトにねじ込んでいく (c)Bisoh手でカップと軸の位置を微調整したら8mmアーレンキーでボルトを締め込んでいく手でカップと軸の位置を微調整したら8mmアーレンキーでボルトを締め込んでいく (c)Bisoh

スルスルとBBが押し出されて取り外し完了スルスルとBBが押し出されて取り外し完了 (c)Bisoh
以上でおしまい。逆側も手順としては同じ。

この工具、全く強い力を使わずに圧入も取り外しも行えるので、とにかく最高である。圧入は今までも同じ作業だから苦はなかったのだけど、ハンマーを使ってBBを叩き出していた取り外し作業が、ここまで簡単になったのは嬉しいのひと言。ガンガンと鳴り響くハンマーによる作業音が一切なくなった事も、集合住宅住まいの人間としてはありがたい。

そしてもちろんだけど、BBを交換したおかげで異音もなくなり、また気持ち良くシクロクロスに乗れるようになった。

なお、工具の各パーツ名称はどこにも書いてなかったため、わかりやすいように自分で勝手に日本語名を付けた。「押し棒」とかそのまんまだけど、作業手順上でわかればまあいいかなと。