X68000 SUPER内蔵FDDの分解手順と電解コンデンサ交換

2020/12/07(月) - 00:14 | bisoh
先日、FDDが立て続けに不調を訴えたため、ダメ元で電解コンデンサの交換を行った。結果を先に書くと、1台は蘇り、もう1台はヘッド用モーターの制御がうまくいかない風で不調のまま。ドライブ0にするとしばしFDを読み込もうとした後にエラーを出し、ドライブ1にすると、FDを入れてすぐ吐き出してしまう状態。しかしせっかく分解手順を記録したので、ションボリしつつ記事化することにした。

ここでは、フロッピーディスクを回転させる側の基板を「回転部基板」、後方の主制御を行う部分の基板を「制御部基板」と呼ぶ。各手順で外すべきネジの位置やコネクタ位置等は、画像内に黄色い丸で示している。写真+キャプションでだいたいわかると思うので、本文は極小。

他のサイト等を見る限り、多少の部品や形状の差異はあるかもしれないが、X68000 XVIの内蔵FDDあたりも同じ手順で分解出来そうな雰囲気(XVI欲しい…)。

1. マウンタ分離〜シールド分離まで

X68000 SUPERは、2台の内蔵FDDがマウンタによって1つにまとめられている。これをまず外してしまう。

X68000 SUPERの内蔵FDD (c)Hosoda Bisoh
FDDケーブルを外す。後方へ引っこ抜くだけ (c)Hosoda Bisoh


FDDを留めているマウンタ左右のネジ合計8本を抜く (c)Hosoda Bisoh

マウンタを取り外し、2台のFDDが分離した (c)Hosoda Bisoh
FDDの品番?は「K-61432-72」 (c)Hosoda Bisoh


FDDをひっくり返したところ。回転部の基板とメインの制御基板とに分かれている (c)Hosoda Bisoh

シールド前面のネジ2本を外す (c)Hosoda Bisoh
シールド上面のネジ2本を外す (c)Hosoda Bisoh


シールドに使われているネジ。左が上面用、右が前面用 (c)Hosoda Bisoh
シールドが外れ、内部構造が見えたFDD (c)Hosoda Bisoh


2. 回転部基板の分離

次にFDを回す側の基板をフレームから外す。最初に制御部基板と回転部基板を繋ぐフィルムケーブルを外してしまう。それから実際の回転部の分解にかかっていく。

オススメの精密ドライバー

ここはかなり固めに締まっているネジが多いので、下記のようなグリップが太い精密ドライバーセットを用意するのがベスト。

→ベッセル(VESSEL) 精密ビット 5本組 (ボールグリップ付)(Amazonの製品ページに飛びます)

「ベッセル(VESSEL) 精密ビット 5本組 (ボールグリップ付)」――こんな風にガッシリ太いグリップの精密ドライバーがオススメ (c)Hosoda Bisoh

回転部基板の分離手順

回転部を制御部をつなぐフィルムケーブルを抜く (c)Hosoda Bisoh
回転部のフィルムケーブルを抜いたところ (c)Hosoda Bisoh


ネジ4本を抜き、回転部を押さえる金具を外す (c)Hosoda Bisoh

回転部の押さえ金具を外したところ (c)Hosoda Bisoh
回転軸近くのセンサーのネジを外す。黒いネジ止め剤が付着しており、やや固め (c)Hosoda Bisoh


上部回転盤のネジ2本を外す。ここもネジ止め剤があり、固い (c)Hosoda Bisoh
上部回転盤とそのネジ (c)Hosoda Bisoh


回転部基板を外すにはこの3本のネジを抜くだけで良いのだけど、めちゃくちゃに固い。グリップの太い00番ドライバーで舐めないように慎重に回すこと (c)Hosoda Bisoh

フレームから分離した回転部基板と3本のネジ (c)Hosoda Bisoh
FDD本体はこんな風になった (c)Hosoda Bisoh


3. 制御部基板の分離

最後にヘッダー用のモーターと繋がっている、後方の制御部基板をフレームから分離する。ここからセンサーやモーターを制御するため、各部へ繋がるコネクタも多い。前項で外した回転部基板用コネクタ1つを含め、合計10箇所もある。これらそれぞれを慎重に抜き、最後に基板をフレームに固定しているネジ4本を抜けば、制御部基板が分離出来る。

灰色のケーブル2本を基板から抜く (c)Hosoda Bisoh
灰色ケーブルを抜いたところ (c)Hosoda Bisoh


灰色ケーブル下にある薄い樹脂板型の2枚のコネクタを抜く (c)Hosoda Bisoh
2枚の板状コネクタを抜いたところ (c)Hosoda Bisoh


制御部基板のコネクタ5本を抜く (c)Hosoda Bisoh

灰色ケーブルのインナーワイヤーは、全て少しギザギザが付いて抜けにくくなっている (c)Hosoda Bisoh
ヘッド用モーターのオレンジのコネクタは、左右のポッチをマイナスドライバーで押さえつつ交互にズラしながら抜くと良いかも (c)Hosoda Bisoh


ネジ4本を抜き、制御部基板をフレームから分離する (c)Hosoda Bisoh

これで基板の清掃や電子部品の交換が可能になった (c)Hosoda Bisoh

4. 使われている電解コンデンサの種類と交換

電解コンデンサは回転部基板に3つ、制御部基板に6つある。回転部は全て異なる電解コンデンサ、制御部側は4つが同じ、残り2つが同じなので、2種類揃えればOK。詳細は表にしたので、写真とともに参照していただくとわかりやすいかと。

回転部基板の電解コンデンサ

部位電解コンデンサ仕様
C650V / 0.1μF / 85℃ 低頭型
C716V / 22μF / 85℃ 低頭型
C850V / 0.47μF / 85℃ 低頭型

制御部基板の電解コンデンサ

部位電解コンデンサ仕様
C10、C26、C21、C2316V / 10μF / 85℃ 低頭型
C17、C1916v / 100μF / 85℃ 低頭型

電解コンデンサがあるのはこの2枚の基板 (c)Hosoda Bisoh

回転部基板の電解コンデンサは、C6:50V / 0.1μF、C7:16V / 22μF、C8:50V / 0.47μF (c)Hosoda Bisoh

制御部基板の電解コンデンサ使用箇所は、左からC10、C26、C21、C23、裏面右下端にあるC17、C19 (c)Hosoda Bisoh

制御部基板の電解コンデンサは、C10、C26、C21、C23の4つが16V / 10μF (c)Hosoda Bisoh

制御部基板の端にあるC17、C19は両方とも16v / 100μF (c)Hosoda Bisoh

電解コンデンサ交換を終え、逆手順でFDDを組み立てて補修作業は完了 (c)Hosoda Bisoh



以上でX68000 SUPER内蔵FDDの電解コンデンサの全交換が終了。しかしこれでも1台は直らなかったため、修理としては次の手を考えないといけなくなった。また先達の皆さんに知恵を拝借しながら頑張りたい。