X68000のゲームと言えば、対応したMIDI音源と共に語られることも少なくない。しかし当時の自分はそこまでお金が回らず、MIDI音源が奏でるゲームミュージックの数々を直に聞くことなくX68000とお別れしてしまったのであった。
そのリベンジを果たすべく、X68000 SUPERを再入手した今、2021年に入ってからMIDIボードとRoland SC-55を次々購入。その後それだけでは飽き足らず、その後もう1つの対応機器「MT-32」か、その互換音源を探し求めていた。そこでヤフオクにて発見したのが「Roland CM-32LN」。
このCM-32LNなる製品は、NEC製ノートPC「98NOTE」の底面とほぼ同サイズに作られており、その下に敷くと98NOTEとの一体感も出て見た目が良いらしい。
そうは言っても私の母艦はX68000。気になるのはMT-32との互換性。探してみると、YouTubeでMT-32とCM-32LNの両方で同じX68000用ゲームをプレイしている動画が見つかったので、聴き比べてみた。……はっきり言って、自分の耳ではさっぱり差がわからないくらいには同じだった。これはもう完全互換と考えてもいいんじゃない?知らんけど……と言うわけでヤフオクで多少競った末に落札、我が家にそれはやってきた。諭吉様2枚消えた。
早速ウキウキでX68000のMIDIボードへ接続し、スピーカーに出力してみたところ、「うん……音出ないね……」。正確には音量MAXにすると、たまに切れ切れかつ小さく、一部の音色が鳴ってはいた。そんなわけで最初にやることと言えば、電解コンデンサの交換。筐体から基板を取り出し、全ての電解コンデンサの仕様をリストアップし、部品が到着次第修理に臨んだ。
自分は探したタイミングで見つけたのがこれだったゆえ購入したわけだけど、そうでなければ普通にMT-32やCM-32Lで良いと思う。
とまあ余談はともかく、分解手順を写真でどうぞ。
ここまで終わると、シールドとメイン基板を分離できるようになる。あとはメイン基板の上に載った小さな基板を外すだけ。
これにてCM-32LNの分解はおしまい。いよいよ電解コンデンサの交換に入れるようになる。なお、小基板には電解コンデンサが1つも使われていないため、今回の修理対象からは一旦除外した。
高さ:未記載=通常型、低=低頭型
極性:未記載=有極性、両=両極性
C11〜C16:25V/4.7μF
C32、C33:16V/10μF
C39、C41:16V/10μF
C40、C42:16V/47μF
次の点として、一番大きな電解コンデンサ「C38: 16V/2200μF」。これだけが、側面が接着剤で基板にくっついていた。これはそれほど接着が強くなかったため、マイナスドライバーを横から差し込んで、少しずつ持ち上げることで無難に剥がすことが出来た。
それと、今回の作業には関係なかったが、背面のMIDI IN端子2つの内部には金属板によるスイッチ的なものがあり、ちょっと気になった。
と言うのもこれらを覆うクリアカバーが簡単に外せないようになっており、内部をどうにかする事が出来なさそうだったから。中の金属板が若干腐食していたため、本来なら研磨するなどしたかったのだが、今回は諦めた。端子自体はオスコネクタのピンにフラックスクリーナーを吹きかけて抜き差しを繰り返すことで、簡易的なクリーニングを行った。
その後もグラナダやグラディウスII、ジェノサイド2などでCM-32LNが奏でる音楽を堪能し、最近はシステムサコムのメタルサイトも手に入れて鳴らしてみたりしている。
こうしてSC-55とMT-32互換音源が揃い、かつて夢だったMIDI音源によるゲームミュージックの多くをX68000で聞く事が出来るようになった。本当に嬉しい!次は液晶パネルのバックライトがいつの間にか点かなくなってしまったSC-55を修理する予定。
そのリベンジを果たすべく、X68000 SUPERを再入手した今、2021年に入ってからMIDIボードとRoland SC-55を次々購入。その後それだけでは飽き足らず、その後もう1つの対応機器「MT-32」か、その互換音源を探し求めていた。そこでヤフオクにて発見したのが「Roland CM-32LN」。
このCM-32LNなる製品は、NEC製ノートPC「98NOTE」の底面とほぼ同サイズに作られており、その下に敷くと98NOTEとの一体感も出て見た目が良いらしい。
そうは言っても私の母艦はX68000。気になるのはMT-32との互換性。探してみると、YouTubeでMT-32とCM-32LNの両方で同じX68000用ゲームをプレイしている動画が見つかったので、聴き比べてみた。……はっきり言って、自分の耳ではさっぱり差がわからないくらいには同じだった。これはもう完全互換と考えてもいいんじゃない?知らんけど……と言うわけでヤフオクで多少競った末に落札、我が家にそれはやってきた。諭吉様2枚消えた。
早速ウキウキでX68000のMIDIボードへ接続し、スピーカーに出力してみたところ、「うん……音出ないね……」。正確には音量MAXにすると、たまに切れ切れかつ小さく、一部の音色が鳴ってはいた。そんなわけで最初にやることと言えば、電解コンデンサの交換。筐体から基板を取り出し、全ての電解コンデンサの仕様をリストアップし、部品が到着次第修理に臨んだ。
CM-32LNをバラす
CM32-LNは98NOTEの底面サイズに合わせてあるため、そこそこ薄いが、とにかく幅広である。どれくらいかと言うと、Roland SC-55の横幅にプラス10cmほど。収まりが悪く、少々置き場所に困るレベルだったりする。自分は探したタイミングで見つけたのがこれだったゆえ購入したわけだけど、そうでなければ普通にMT-32やCM-32Lで良いと思う。
とまあ余談はともかく、分解手順を写真でどうぞ。
ここまで終わると、シールドとメイン基板を分離できるようになる。あとはメイン基板の上に載った小さな基板を外すだけ。
これにてCM-32LNの分解はおしまい。いよいよ電解コンデンサの交換に入れるようになる。なお、小基板には電解コンデンサが1つも使われていないため、今回の修理対象からは一旦除外した。
CM-32LN 電解コンデンサ 一覧表
電解コンデンサの発注前に作成した一覧表をここに。両極性のものが使われている部分があるので、購入や作業の際は間違えないように注意。高さ:未記載=通常型、低=低頭型
極性:未記載=有極性、両=両極性
No. | 電圧(V) | 容量(uF) | 高さ | 極性 |
---|---|---|---|---|
C1 | 6.3 | 47 | ||
C2 | 6.3 | 47 | ||
C11 | 25 | 4.7 | 両 | |
C12 | 25 | 4.7 | 両 | |
C13 | 25 | 4.7 | 両 | |
C14 | 25 | 4.7 | 両 | |
C15 | 25 | 4.7 | 両 | |
C16 | 25 | 4.7 | 両 | |
C24 | 6.3 | 10 | 低 | |
C25 | 6.3 | 10 | 低 | |
C26 | 6.3 | 470 | ||
C29 | 6.3 | 47 | ||
C30 | 6.3 | 47 | ||
C32 | 16 | 10 | 両 | |
C33 | 16 | 10 | 両 | |
C34 | 6.3 | 47 | ||
C35 | 6.3 | 47 | ||
C38 | 16 | 2200 | ||
C39 | 16 | 10 | 両 | |
C40 | 16 | 47 | 両 | |
C41 | 16 | 10 | 両 | |
C42 | 16 | 47 | 両 | |
C46 | 6.3 | 1000 | 低 | |
C47 | 6.3 | 1000 | 低 | |
C52 | 16 | 10 | ||
C53 | 16 | 10 | ||
C58 | 6.3 | 100 | ||
C66 | 6.3 | 100 | ||
C77 | 25 | 4.7 | ||
C83 | 6.3 | 100 | ||
C85 | 6.3 | 100 | ||
C87 | 6.3 | 100 | ||
C90 | 6.3 | 100 | ||
C98 | 6.3 | 100 | ||
C101 | 6.3 | 100 |
注意した部分や気になったところ
先にも記したが、使われている電解コンデンサには両極性のものが12本ほどある。以下がその内訳。この点は注意したい。C11〜C16:25V/4.7μF
C32、C33:16V/10μF
C39、C41:16V/10μF
C40、C42:16V/47μF
次の点として、一番大きな電解コンデンサ「C38: 16V/2200μF」。これだけが、側面が接着剤で基板にくっついていた。これはそれほど接着が強くなかったため、マイナスドライバーを横から差し込んで、少しずつ持ち上げることで無難に剥がすことが出来た。
それと、今回の作業には関係なかったが、背面のMIDI IN端子2つの内部には金属板によるスイッチ的なものがあり、ちょっと気になった。
と言うのもこれらを覆うクリアカバーが簡単に外せないようになっており、内部をどうにかする事が出来なさそうだったから。中の金属板が若干腐食していたため、本来なら研磨するなどしたかったのだが、今回は諦めた。端子自体はオスコネクタのピンにフラックスクリーナーを吹きかけて抜き差しを繰り返すことで、簡易的なクリーニングを行った。
復活、柔らか音源
電解コンデンサの交換が終わり、X68000にてMT-32対応のゲーム「出たな!ツインビー」を起動、CM-32LNの演奏テストを実施した。起動後、音源にMT-32/CM-32Lを選択すると、流れてきたのは内蔵音源とは違う柔らかめな音色。修理は成功。ネットでしか聞いた事がなかった音が、ついに我が家にも!その後もグラナダやグラディウスII、ジェノサイド2などでCM-32LNが奏でる音楽を堪能し、最近はシステムサコムのメタルサイトも手に入れて鳴らしてみたりしている。
こうしてSC-55とMT-32互換音源が揃い、かつて夢だったMIDI音源によるゲームミュージックの多くをX68000で聞く事が出来るようになった。本当に嬉しい!次は液晶パネルのバックライトがいつの間にか点かなくなってしまったSC-55を修理する予定。
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