大好きな秋山翔吾選手が216安打を放ち、日本新記録を打ち立てて終了した2015レギュラーシーズン。ちょっと時間が経ってしまったけれど、これはその数日前、ライオンズの偉大なるレジェンド・西口文也投手引退試合のお話。

球場前に掲示された背番号13のボード球場前に掲示された背番号13のボード (c)Bisoh
この日入場者全員に配布されたペーパーボードとスペシャルチケットこの日入場者全員に配布されたペーパーボードとスペシャルチケット (c)Bisohこの日の先発は菊池雄星。YUSEIタオルが彼の背中を押すこの日の先発は菊池雄星。YUSEIタオルが彼の背中を押す (c)Bisoh

西口さんの引退が発表された時の自分の心境は、「無念」と言う感情に近かった。今季唯一の一軍巨人戦の登板では、4失点降板も復調の気配を見せ、その後も二軍でローテーションに入り好投を続けていた。郭俊麟、野上、牧田ら早い回から炎上する先発投手陣の惨状を見ても、もう一度西口さんにチャンスを与えて然るべきと考えていたからだ。

ただ、それすらも受け入れて彼自身選択したのが「引退」である以上、ただの1ファンである自分は、その事を尊重するしかない。あとは現役最後の勇姿を見届けようとスイッチを切り替えた。

そうして迎えた西武プリンスドーム、西口さんの引退セレモニーが企画された2015年シーズン最終戦は、チケット完売のプラチナチケットとなった。惜別の想いを胸に向かった対千葉ロッテ戦、残念ながら試合自体は今季の田邊采配を象徴するフラストレーションの溜まる試合となった。

先発は菊池雄星。例年にも増して異様な雰囲気の中、二桁勝利を賭けての登板も、初回早々に失点。その後も先に打者を追い込みながらフルカウントからの四球などを連発。2回裏に森のツーランホームランで一時逆転するも、直後の3回表にクルーズから再びポール直撃のツーランホームランを浴びて逆転を許してしまう。

グラウンドの妖精・ブルーレジェンズも今季最後の舞グラウンドの妖精・ブルーレジェンズも今季最後の舞 (c)Bisoh森友哉のツーランホームランで一時逆転森友哉のツーランホームランで一時逆転 (c)Bisoh

雄星は、今季よく見たなんともふがいない内容で、味方が逆転してくれた直後に再逆転を許す雄星は、今季よく見たなんともふがいない内容で、味方が逆転してくれた直後に再逆転を許す (c)Bisoh中秋の名月がドームの隙間から覗く中秋の名月がドームの隙間から覗く (c)Bisoh

その後も雄星は無駄な球数を積み上げ、5回には早々に100球を超えようかという内容で試合が進んだ。対するロッテ先発の石川歩は、得意のライオンズ相手に中盤以降は大きなピンチを迎える事なく、凡打三振の山を築いていく。

その3回裏あたりから、ブルペン周辺がざわめき立った。西口さんがブルペンに入ってきた!試合の進行が気になりながらもウォームアップや投球練習を行う西口さんから目を逸らせない我々。ブルペン前では、近くで彼を見ようと言う人達が係員の制止を受けながらもしばし立ち止まって撮影をし、若干の混雑を見せていた。

そして、5回2死まで取った後、雄星が突如交代を告げられる。その時、ブルペンでは誰も投げておらず、準備をしてひと息入れている西口さんは半信半疑な様子で「俺?」と自分を指差しながらマウンドへ向かった。対する打者は井口。フルカウントまで行った最後の球は、外角低めに決まるもフォアボール。再び田邊監督がベンチを出て岡本洋介への交代を告げた。

ブルペンに姿を現した西口さん。客席が浮足立つブルペンに姿を現した西口さん。客席が浮足立つ (c)Bisoh「俺?」と自分を指差した後、ゆっくりとマウンドへ向かう西口さん「俺?」と自分を指差した後、ゆっくりとマウンドへ向かう西口さん (c)Bisoh

スタンドから一斉に上がる13のペーパーボードスタンドから一斉に上がる13のペーパーボード (c)Bisoh
この投球フォームも見納め…寂しい…この投球フォームも見納め…寂しい… (c)Bisoh
対するはロッテのベテラン井口対するはロッテのベテラン井口 (c)Bisoh井口に四球を出したところで西口さん交代井口に四球を出したところで西口さん交代 (c)Bisoh

スタンドからは「えーっ」と大きな声が上がる。ワンポイントの登板で、四球と言う結果だけ見れば通常でもやむを得ない継投とも言えるが、まず交代する投手が誰であれ、登板前のルーティンワークを無視した継投の仕方が残念だった。

この時点で投げさせるつもりがあったならば、本来交代の少し前からブルペンで投球させ、肩がある程度温まった状態でマウンドへ行かせるのが普通。それが一度投球練習を終えて休み、間を空けた状態からいきなりマウンドでの実戦登板を指示。田邊監督やコーチ陣にどういう思惑があったかは知らないが、このやり方はとりわけ西口投手最後の公式戦登板としては、あまりに粗雑と言わざるを得ない。

つまり、そういった前提があった上での四球であり、交代である。今季幾度となく見た不可解な継投に、ホーム最終戦をして新たなパターンが加わってしまった。

あとは結果だけ。1点差を追う7回表に牧田が1失点し、L2-4M。この日元気のなかった打線にとってはこれで万事休す。そのままゲームセットとなった。

秋山は209安打目を放ち1安打プラス秋山は209安打目を放ち1安打プラス (c)Bisoh
この日も精彩を欠いた牧田、致命的な1点を取られてしまったこの日も精彩を欠いた牧田、致命的な1点を取られてしまった (c)Bisoh首脳陣の無茶な使い方にも関わらず今季安定感を見せた増田。写真を撮り損ねてしまったけれど、同じく武隈も好投首脳陣の無茶な使い方にも関わらず今季安定感を見せた増田。写真を撮り損ねてしまったけれど、同じく武隈も好投 (c)Bisoh

西武プリンスドーム最終戦を勝利で飾り、ライトスタンドのファンに挨拶するロッテナイン西武プリンスドーム最終戦を勝利で飾り、ライトスタンドのファンに挨拶するロッテナイン (c)Bisoh
試合後は恒例の最終戦セレモニー。田邊監督の挨拶の際は、ブーイングと「辞めろ」の罵声が飛んだ。聞いていて気分の良いものではないけれど、本日の継投も含め、今シーズンのズレた采配ぶりを見れば止むなしの面もあった。

ブーイングと罵声が飛んだ田邊監督の挨拶ブーイングと罵声が飛んだ田邊監督の挨拶 (c)Bisoh
最終戦セレモニーの後はいよいよ西口文也投手・引退セレモニー。その途中で、西口さんが「ファンの皆様、ノーヒットノーラン未遂2回、完全試合未遂1回、そして今日のフォアボール。ファンの期待を裏切ることもたくさんありましたが、声援に勇気と力をもらいました」と笑わせてくれた事で、自分が抱いていたモヤモヤが少し吹き飛んだ。もちろん今季首脳陣への評価が変わるはずもないけれど。

サインボールを投げながらグラウンドを一周した後は、炭谷とのバッテリーでラストピッチ。マウンドにライオンズブルーのグローブを置いて、選手達とお客さんの間を抜けてウィニングロードを登り去る西口さん。今やライバルとは言え、かつて最も長くバッテリーを組んだ伊東監督にもその投球を受けて欲しかったかも、と言うのはさすがにファンのわがままか。

続いて選手達が続き、最後は高橋光成がそのグローブを拾い受け継ぐ粋な演出の後、トコトコと登っていった。果たして来季の背番号13は高橋光成になるのだろうか。今季見せた期待感溢れるピッチングからすれば、もしそうなったとしても異論はない。

いよいよ西口文也引退セレモニーの刻いよいよ西口文也引退セレモニーの刻 (c)Bisoh選手達が全員背番号13のTシャツを着る選手達が全員背番号13のTシャツを着る (c)Bisoh

同期入団の高木浩之コーチからの花束同期入団の高木浩之コーチからの花束 (c)Bisohライオンズファン代表で小倉智昭さんが花束を贈呈ライオンズファン代表で小倉智昭さんが花束を贈呈 (c)Bisoh

涌井と岸が花束を贈る涌井と岸が花束を贈る (c)Bisoh
細身でちょっと猫背で普段着になれば誰にも気づかれないほどの地味さを発揮しながら、ひとたびマウンドに登れば伸びやかなピッチングフォームで打者を打ち取り勝利を重ね、頼もしい姿を見せた西口さん。

ノーヒットノーランならずとも、200勝ならずとも、獲得したフリーエージェント権には目もくれず、球団の示した減俸にも文句1つ言わず、ただひたすらにライオンズで投げ続けてくれたその勇姿を僕らは忘れない。

13のボードが踊る中、グラウンドを一周する西口さん13のボードが踊る中、グラウンドを一周する西口さん (c)Bisohロッテファンにも最後の挨拶ロッテファンにも最後の挨拶 (c)Bisoh

レフトスタンドには惜別の紙テープが舞ったレフトスタンドには惜別の紙テープが舞った (c)Bisoh
カメラにサインする西口さんカメラにサインする西口さん (c)Bisoh西口さんホントにホントのラストピッチ(SS間違えてブレた…)西口さんホントにホントのラストピッチ(SS間違えてブレた…) (c)Bisoh

チームメイト達に胴上げされる西口さんチームメイト達に胴上げされる西口さん (c)Bisoh
ライオンズブルーのグローブを置き、脱帽してマウンドを去る西口さんライオンズブルーのグローブを置き、脱帽してマウンドを去る西口さん (c)Bisoh
西口さん最後のウィニングロード西口さん最後のウィニングロード (c)Bisoh
最後に高橋光成が西口さんのグローブを拾い上げ、ウィニングロードを登っていった最後に高橋光成が西口さんのグローブを拾い上げ、ウィニングロードを登っていった (c)Bisoh
そして最後にもう一度。

ありがとう!西口文也!!

再びライオンズのユニフォームを着てグラウンドへ戻ってくる日に思いを馳せつつ、今日のところは筆を置きます。
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