我が家のX68000 SUPERで、同人ハードのFDX68とRaSCSIを稼働させるために、Raspberry Pi 3B+(1GB)、4B(8GB)、7インチ液晶ディスプレイを購入した。まずはその導入部、Raspberry Pi OSのインストールから初期設定を終えるまでの流れをまとめてみた。Vimのヘンテコな挙動の解決や、ディスプレイ設定も同時に行っている。
まず、下記のラズパイ公式サイトURLより「Download Zip」ボタンをクリックしてMacにNOOBSをダウンロードする。
→Raspberry Pi公式サイト NOOBSダウンロードページ
Zipファイルを解凍したら、マイクロSDカードのトップディレクトリに「NOOBS_*****」(*****はバージョンなどが入る)内のファイルやフォルダを全てコピーする。
コピーが終わったら、マイクロSDカードをRaspberry Piに挿入して起動。
起動したら、この段階でWiFiや言語、キーボードの選択をしておくと後が楽。
「Rasberry Pi OS」にチェックを入れて左上のインストールボタンをクリック。
インストール進行中は「ラズパイでこんな事できますよー」的な絵がパタパタと流れてループするので、下のプログレスバーを含めてボンヤリ眺めながら完了まで放置。
OSインストールが完了したら再起動。
3B+では液晶ディスプレイの電源を本体のUSBポートから取ると画面がついたり消えたりを繰り返し、OSも起動しなかったため、すぐに電源を切って外した。ディスプレイを別電源にすると起動するが、時折稲妻が表示された。電源ポートの形状が、4BはType-C、3B+はMicroUSBなので、本体側が受けられる電力量にも規格による違いがありそう(めんどくさいからちゃんと調べてない)。
これをキャンセルして後述する個別設定をまとめて行っても良いが、WiFiと言語の設定はここで確認し直せるので、ひと通り画面を見ていこう。
セキュリティー的に見たらこれで終わりではないのだけど、そういう細かいのは後で必要に応じてやる方向。
終わったら再起動。4Bは10分少々だったが、3B+は20分近くかかった。適用される内容が違っていたかもしれないが、CPUやネットワークの速度の差が出たかも。
ただし2020年11月時点、これら設定はRasberry Pi OSの「Raspberry Piの設定」でも出来る。OSインストール時かOS初期起動時のセットアップウィザードにて言語を日本語にしておくとわかりやすいので、特に拘りがないならこちらでも良いと思う。見出しや表の後者はGUI設定画面での日本語名称。Wi-Fiは、これも同様に先に設定してあれば、再設定の必要はないから省略(やり方は一緒)。
ここまでの設定を保存したらラズパイを再起動する。
なぜ今時こんな挙動をするのかと思ったら、Raspberry PiのデフォルトVimは機能限定版のVim-tinyで、しかもvi互換モードで動いているとのこと。
カーソルキーの挙動については、ユーザー個別のホームディレクトリに.vimrcを作成して1行目に「set nocompatible」と書き入れて保存すれば良い。で、確かに設定ファイルをちょっといじるくらいだと、これで十分ではあり。しかし、他にも挙動が違っていたり機能不足も散見されたため、さすがにその度カスタマイズするのが面倒になってしまった。
そこで、デフォルトで入っているこのVim-tinyのまま使用し続けることを諦め、通常版のVimをインストールし直した。
まずはインストールされているVimを確認。
vim-commonとvim-tinyが出たら、それらをまとめてアンインストールする。
アンインストール中に「/etc/vimが削除出来ませんでした」と言う警告が出た場合、/etc直下のvimディレクトリをrmコマンドで削除しておく。通常版をインストールすれば再作成してくれるので、残しておく必要はない。
そして通常版Vimをインストールする。
以上で設定ファイルを追加することなく、カーソルキーは方向キーとして正常化するし、構文の色分けなども適用された状態となる。あれこれカスタマイズするにしても、プリミティブな設定をしなくて済む通常版Vimをベースにした方が遥かにやりやすいのでお勧め。
ユーザー個別に設定する場合のファイル
グローバル設定とする場合のファイル
上記ファイルに下記行を追記して保存
他にも設定可能項目はたくさんあるので、「vimrc setting」などで検索すると良き。
OSインストール完了直後、4Bでは横方向に潰れて左右に黒帯がある画面に、3B+では1366x768と一回り大きな解像度が設定されていた。端的に言って見づらい。これをドットバイドットの正常な表示とするため、「/boot/config.txt 」に下記設定を適用した(hdmi_modeの数値を変更、hdmi_cvtを追記)。
この設定は、他社製(KumanやSunFounderなど)の同解像度のディスプレイにも応用できる模様。
詳しくはラズパイ公式サイトを見るべし。
→Video options in config.txt
margins, interlace, reduced blankingの値は、ディスプレイの挙動がおかしくなければ0のままで良いと思う。
設定が終わったらラズパイを再起動。表示がドットバイドットかつ画面一杯となり、見やすくなった。
これでラズパイの準備は完了。次回はX68000とFDX68を繋げる前段階、FDD-DRIVE SWAPPERの組み込み編。
1. NOOBSを使ったOSインストール
NOOBSはRaspberry Pi公式のGUIベースのインストーラー。「Raspberry Pi OS(旧名Raspbian)」をインストールする場合は、ネットワーク経由でOSをダウンロードしながらインストールするLiteより、最初からOSパッケージが入った通常版の方が不安がなくて良いかも。まず、下記のラズパイ公式サイトURLより「Download Zip」ボタンをクリックしてMacにNOOBSをダウンロードする。
→Raspberry Pi公式サイト NOOBSダウンロードページ
Zipファイルを解凍したら、マイクロSDカードのトップディレクトリに「NOOBS_*****」(*****はバージョンなどが入る)内のファイルやフォルダを全てコピーする。
コピーが終わったら、マイクロSDカードをRaspberry Piに挿入して起動。
起動したら、この段階でWiFiや言語、キーボードの選択をしておくと後が楽。
「Rasberry Pi OS」にチェックを入れて左上のインストールボタンをクリック。
インストール進行中は「ラズパイでこんな事できますよー」的な絵がパタパタと流れてループするので、下のプログレスバーを含めてボンヤリ眺めながら完了まで放置。
OSインストールが完了したら再起動。
2. 電力の問題を解決する
ラズパイが起動しなかったり、画面右上に稲妻マークが出ている時は電力不足が考えられる。下記のようなメッセージが出ることもあり。Low voltage warning
Please check your power supply
対処方法
- USBケーブルを変更する(ACアダプターなどが電源供給量が条件を満たしている場合)
- 電源供給源の電力自体が足りない場合、ACアダプターやモバイルバッテリーを変更する
- ディスプレイや周辺機器などは、別系統から電源を取る
3B+では液晶ディスプレイの電源を本体のUSBポートから取ると画面がついたり消えたりを繰り返し、OSも起動しなかったため、すぐに電源を切って外した。ディスプレイを別電源にすると起動するが、時折稲妻が表示された。電源ポートの形状が、4BはType-C、3B+はMicroUSBなので、本体側が受けられる電力量にも規格による違いがありそう(めんどくさいからちゃんと調べてない)。
3. セットアップウィザードでの各種設定
前のバージョンなどは触ったことがないからわからないけれど、Raspberry Pi OS 3.5.xは、最初のOS起動時にセットアップウィザードが開始される。これをキャンセルして後述する個別設定をまとめて行っても良いが、WiFiと言語の設定はここで確認し直せるので、ひと通り画面を見ていこう。
4. rootパスワードを設定する
su rootしたい時もあるので下記コマンドにて設定しておく。$ sudo passwd root
セキュリティー的に見たらこれで終わりではないのだけど、そういう細かいのは後で必要に応じてやる方向。
5. OSのアップデート
最初に買ったラズパイ4BのセットアップウィザードのGUIではなぜか失敗したので、SSH経由でコマンドラインを使ってOSを最新の状態にした。3B+も同様。$ sudo apt-get update;sudo apt-get -y upgrade
終わったら再起動。4Bは10分少々だったが、3B+は20分近くかかった。適用される内容が違っていたかもしれないが、CPUやネットワークの速度の差が出たかも。
6. 各種設定
SSH/CUIの場合、ターミナルから下記コマンドでRaspberry Piの環境設定画面を呼び出す。$ sudo raspi-config
ただし2020年11月時点、これら設定はRasberry Pi OSの「Raspberry Piの設定」でも出来る。OSインストール時かOS初期起動時のセットアップウィザードにて言語を日本語にしておくとわかりやすいので、特に拘りがないならこちらでも良いと思う。見出しや表の後者はGUI設定画面での日本語名称。Wi-Fiは、これも同様に先に設定してあれば、再設定の必要はないから省略(やり方は一緒)。
Network Options / システム
項目名 | LXTerminal/SSH | GUI |
---|---|---|
Hostname ホスト名 | 半角英数字で任意の名称を入れる |
Interface Options / インターフェイス
SSHを有効化する。項目名 | LXTerminal/SSH | GUI |
---|---|---|
SSH | 「Yes」or「はい」 | 有効 |
Localization Options / ローカライゼーション
地域とエンコーディングを設定する設定する。この辺もインストール後の初期設定までに終わっている項目。確認して万が一反映されてないようなら変更する。項目名 | LXTerminal/SSH | GUI |
---|---|---|
Locale ロケール | ja_JP.UTF-8 UTF-8 | 言語: ja (japanese) 文字セット: UTF-8 |
Timezone タイムゾーン | Asia/Tokyo or アジア | 地域: Asia 位置: Tokyo |
Keyboard キーボード | 使っているものに合わせる。英字キーボードもUK配列とUS配列で微妙な違いがあるので注意。日本で流通している英字キーボードの大半はUS配列。汎用であれば「Generic 105-key PC (intl.)」で間に合う。一覧にはHHKBなど、多くのキーボード設定がある。 | |
WLAN Country 無線LANの国 | JP JAPAN |
ここまでの設定を保存したらラズパイを再起動する。
7. デフォルトVimの不便さを通常版Vimのインストールで根本的に解決する
ラズパイデフォルトのVimの挿入モードでは、カーソルキーを押すとABCDが出てカーソルが移動しない問題がある。不便すぎるので、ググると対処法も溢れんばかりに出てくる。なぜ今時こんな挙動をするのかと思ったら、Raspberry PiのデフォルトVimは機能限定版のVim-tinyで、しかもvi互換モードで動いているとのこと。
カーソルキーの挙動については、ユーザー個別のホームディレクトリに.vimrcを作成して1行目に「set nocompatible」と書き入れて保存すれば良い。で、確かに設定ファイルをちょっといじるくらいだと、これで十分ではあり。しかし、他にも挙動が違っていたり機能不足も散見されたため、さすがにその度カスタマイズするのが面倒になってしまった。
そこで、デフォルトで入っているこのVim-tinyのまま使用し続けることを諦め、通常版のVimをインストールし直した。
まずはインストールされているVimを確認。
$ dpkg -l | grep vim
vim-commonとvim-tinyが出たら、それらをまとめてアンインストールする。
$ sudo apt remove -y --purge vim-common vim-tiny
アンインストール中に「/etc/vimが削除出来ませんでした」と言う警告が出た場合、/etc直下のvimディレクトリをrmコマンドで削除しておく。通常版をインストールすれば再作成してくれるので、残しておく必要はない。
そして通常版Vimをインストールする。
$ sudo apt install -y vim
以上で設定ファイルを追加することなく、カーソルキーは方向キーとして正常化するし、構文の色分けなども適用された状態となる。あれこれカスタマイズするにしても、プリミティブな設定をしなくて済む通常版Vimをベースにした方が遥かにやりやすいのでお勧め。
8. .vimrc(vimの設定ファイル)に追加設定した項目
通常版Vimのインストール後、とりいそぎ行番号表示(set number)のみ設定した。グローバル設定にしたい場合は「/etc/vim」にvimrc.localを作成して書き入れればOK(自分はそうした)。ちなみにVim-tinyだとこのvimrc.localの設定も読み込んでくれなかったので、やはりフル機能を入れておいた方が良い。ユーザー個別に設定する場合のファイル
$ vi ~/.vimrc
グローバル設定とする場合のファイル
$ vi /etc/vi/vimrc.local
上記ファイルに下記行を追記して保存
set number
他にも設定可能項目はたくさんあるので、「vimrc setting」などで検索すると良き。
9. ROADOM製7インチディスプレイ(1024x600)の表示を正常にする
我が家でラズパイ用に準備した液晶ディスプレイはROADOM製の7インチディスプレイ。ラズパイを背面に装着出来、スピーカーも装備しているので、ラズパイを小型PC的に使えるのが素敵な点。ただ解像度が「横1024×縦600ピクセル」と特殊なため、改めて設定が必要となった。OSインストール完了直後、4Bでは横方向に潰れて左右に黒帯がある画面に、3B+では1366x768と一回り大きな解像度が設定されていた。端的に言って見づらい。これをドットバイドットの正常な表示とするため、「/boot/config.txt 」に下記設定を適用した(hdmi_modeの数値を変更、hdmi_cvtを追記)。
この設定は、他社製(KumanやSunFounderなど)の同解像度のディスプレイにも応用できる模様。
$ vi /boot/config.txt
hdmi_group=2
hdmi_mode=87
hdmi_cvt=1024 600 60 3 0 0 0
「hdmi_group」の数値の意味
項目名 | 値 |
---|---|
自動検出(Auto-detect from EDID) | 0 |
TV出力(CEA) | 1 |
PC用ディスプレイ(DMT) | 2 |
「hdmi_mode」の数値の意味
たくさんあるから割愛。ラズパイ公式サイトの表を見ると、1〜86までは予約された値が入っており、その中に1024x600と言う解像度は存在しない(raspi-configでも出てこない)。その下の「hdmi_timings」と言う項で「hdmi_group=2、hdmi_mode=87にすると選択したカスタムモードで生のHDMIタイミング値を設定可能」風なことが書いてあったので、hdmi_groupとともに、それら数値をそのまま適用した。詳しくはラズパイ公式サイトを見るべし。
→Video options in config.txt
「hdmi_cvt(Custom mode)」の数値の意味(左から順に)
例:hdmi_cvt=1024 600 60 3 0 0 0順番 | 項目名(単位) | 値 |
---|---|---|
1 | width 画面の幅(pixel) | 1024 |
2 | height 画面の高さ(pixel) | 600 |
3 | frame rate フレームレート(Hz) | 60 / 70 / 75 ... |
4 | aspect 画面比率 | 1=4:3 / 2=14:9 / 3=16:9 / 4=5:4 / 5=16:10 / 6=15:9 |
5 | margins マージン | 0=disabled / 1=enabled |
6 | interlace インターレース | 0=progressive / 1=interlaced |
7 | reduced blanking ブランクの削減 | 0=normal / 1=reduced |
margins, interlace, reduced blankingの値は、ディスプレイの挙動がおかしくなければ0のままで良いと思う。
設定が終わったらラズパイを再起動。表示がドットバイドットかつ画面一杯となり、見やすくなった。
これでラズパイの準備は完了。次回はX68000とFDX68を繋げる前段階、FDD-DRIVE SWAPPERの組み込み編。
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