全日本選手権ロードレース2014観戦記その3 男子U23

2014/07/21(月) - 22:59 | bisoh
さあ、いよいよ土曜日のメインイベントと言っていい、全日本選手権ロード男子U23。大学生や実業団、コンチネンタルチームの若手が狙う大一番。前日が平日のため、当日早朝に移動し、この時間から見に来るお客さんも多い。スタート地点は朝よりも賑わいを見せる。

男子U23の優勝候補筆頭は、昨年大分の全日本選手権ロードU23で優勝し、2連覇を狙う徳田鍛造選手(鹿屋体育大)。ここのところ調子を落としていたようなのだが、彼のスタート直前の引き締まった表情を見て、チームメイトともども今日も我々ギャラリーを沸かせてくれそうな予感がした。

昨年のU23チャンピオン、徳田鍛造(鹿屋体育大)。強気な表情がいい昨年のU23チャンピオン、徳田鍛造(鹿屋体育大)。強気な表情がいい (c)Bisoh
スタートラインに並ぶU23の選手達スタートラインに並ぶU23の選手達 (c)BisohスタートしたU23の選手達。先導車に引かれ、まだリラックスムードスタートしたU23の選手達。先導車に引かれ、まだリラックスムード (c)Bisoh

6月28日午前11時、号砲が鳴ると、先導車を前にしてスタートはゆっくり、隣り合った選手達が会話をしながらコースへと入っていった。

コースは1周15.8kmを11周し、計173.8km。ちなみにどのレースもスタートしてから周回に入るまでは距離がカウントされていない。カーレースのローリングスタートみたいなものと思ってもらうとわかりやすいかも。

レースを動かしたのはやはり鹿屋体育大。スタートしてからすぐに攻撃をしかけたようで、その後まずは石橋学選手(鹿屋体育大)、湊涼選手(法政大)、倉林巧和選手(日本体育大)の逃げが決まる。後ろからは徳田鍛造・優(鹿屋体育大)らの小集団が形成され、さらにその後に大集団。2周回目の補給所でそれが確認出来た。

湊涼(法政大)、石橋学(鹿屋体育大)、倉林巧和(日本体育大)が逃げる湊涼(法政大)、石橋学(鹿屋体育大)、倉林巧和(日本体育大)が逃げる (c)Bisoh
前の2名を追う徳田兄弟らの集団前の2名を追う徳田兄弟らの集団 (c)Bisoh補給所を過ぎ、緩い下りに入る集団補給所を過ぎ、緩い下りに入る集団 (c)Bisoh

鹿屋ばかりに触れて恐縮なんだけど、石橋選手は前日の全日本TT男子U23で勝利を挙げているし、徳田鍛造選手は前述の通り昨年の全日本ロード男子U23チャンプ、弟の優(すぐる)選手は昨季のインカレチャンプと、なんだか絶好調に見える鹿屋体育大である。人数も揃っており、レースは彼らを中心に回りそう。

2つに分かれていた逃げ集団は7名ほどにまとまり、しばらくは大集団との追いかけっこ。しかし後ろはどうもうまく追えていない様子で、差が詰まっていかない。もちろん前の選手達が強力だったというのもあったかと思う。強い鹿屋勢3名に加え、日体大の倉林選手も前日の全日本TT男子U23で2位に入ってるのである。

逃げ集団は7名にまとまる逃げ集団は7名にまとまる (c)Bisoh
徳田鍛造・優、石橋学(鹿屋体育大)、湊涼(法政大)、吉田悠人(日本大)が先行する徳田鍛造・優、石橋学(鹿屋体育大)、湊涼(法政大)、吉田悠人(日本大)が先行する (c)Bisoh後続集団が追うも差は縮まらず後続集団が追うも差は縮まらず (c)Bisoh

しかし倉林選手ら2名は途中でこの逃げ集団から脱落、前は5名に絞られ、レースは中盤へと移っていく。逃げに残る鹿屋勢以外は湊涼選手(法政大)と吉田悠人選手(日本大)となり、いよいよ鹿屋優位に。後続集団には余力のある選手もいそうなのに、やはりどうにもまとまらないようで、前とは2分以上離れてしまった。

こうして何周回目かの上り、見通しの良いストレートから望遠レンズで先頭集団とおぼしきコーナーの立ち上がりを捉えると、いつの間にか徳田鍛造・優兄弟のみになっていた。強い、決まった、と思った。

気付けば先頭は徳田鍛造・優兄弟(鹿屋体育大)の2人逃げとなっていた気付けば先頭は徳田鍛造・優兄弟(鹿屋体育大)の2人逃げとなっていた (c)Bisoh
先頭交代しながら力強く進む徳田兄弟先頭交代しながら力強く進む徳田兄弟 (c)Bisoh遅れた湊涼(法政大)を石橋学(鹿屋体育大)がマークする遅れた湊涼(法政大)を石橋学(鹿屋体育大)がマークする (c)Bisoh

こうなると注目は2人のうちどちらが勝つのか、へと移る。申し合わせてあらかじめ勝者を決めるのか、それとも最後はガチンコで勝負か。チームメイトであり兄弟でもある2人だけに気になる。

とは言えそれは間違いなく最終周回までには決められているだろうから、後続集団が追いつかない限り、ゴールするまでわからない、ということはない。

草原の脇にあった桑の実を採取、パクつきながら観戦草原の脇にあった桑の実を採取、パクつきながら観戦 (c)Bisoh晴れ模様が一転、強い雨がコースに降り注ぐ晴れ模様が一転、強い雨がコースに降り注ぐ (c)Bisoh

レースはそのまま終盤に入り、2人のランデブーは続く。ここで変わったのはお天気。空がにわかにかき曇ったと思ったら雨が降ってきた。しかもかなり強い!風もビュウビュウ。迷惑だー!ゴール地点へ向かいつつ、バックパックからカッパを取り出して着込んだ。

だが天候変われども徳田兄弟の足並みは変わらず。激しく打ち付ける雨の中、残り1周、2人揃って力強く坂を駆け上がってきた。兄の鍛造選手が観客にサムアップする。おそらく鍛造選手を勝たせることに決まったのだろう。

強くなった雨の中、徳田兄弟が最終周回へ向かって坂を駆け上がって来た強くなった雨の中、徳田兄弟が最終周回へ向かって坂を駆け上がって来た (c)Bisoh
残り1周と迫り、勝利を確信して左手を突き出す徳田鍛造(鹿屋体育大)残り1周と迫り、勝利を確信して左手を突き出す徳田鍛造(鹿屋体育大) (c)Bisoh徳田鍛造と優のランデブーが続く徳田鍛造と優のランデブーが続く (c)Bisoh

後続との差は縮まっていない。雨はひとしきり降った後、小雨となった。観客の僕らも彼らを迎える準備をする。ゴール前のフェンスの裏側に行ってカメラを構えた。

最後の坂を徳田兄弟が上ってきた。弟の優選手が鍛造選手の左手を掲げ、続いて鍛造選手が人差し指を天に突き上げる。彼が勝者だ!わかりやすい!そしてかっこいい!

徳田兄弟が手を取り合って最後の坂を上って来た徳田兄弟が手を取り合って最後の坂を上って来た (c)Bisoh
「1番!」と左手を突き上げる徳田鍛造(鹿屋体育大)「1番!」と左手を突き上げる徳田鍛造(鹿屋体育大) (c)Bisoh
残り1人の表彰台争い、3位に入ったのは秋田拓磨選手(朝日大)。1分35秒差でフィニッシュ。2人を中盤までアシストした鹿屋の石橋選手は6位だった。彼の働きがなければ違う展開になっていたかもしれない。

ゴール後は雨も止み、再び日が差してきた。プレスに囲まれる勝者が逆光に輝く。

秋田拓磨(朝日大)が3位に秋田拓磨(朝日大)が3位に (c)Bisohチームメイトのアシストをしながら6位に入った石橋学(鹿屋体育大)チームメイトのアシストをしながら6位に入った石橋学(鹿屋体育大) (c)Bisoh

プレスに囲まれる徳田兄弟と鹿屋体育大の黒川監督プレスに囲まれる徳田兄弟と鹿屋体育大の黒川監督 (c)Bisoh
U23ポディウム。左から徳田優(鹿屋体育大)、徳田鍛造(鹿屋体育大)、秋田拓磨(朝日大)U23ポディウム。左から徳田優(鹿屋体育大)、徳田鍛造(鹿屋体育大)、秋田拓磨(朝日大) (c)Bisoh
これにて土曜日のレースは終了。若者のレースも熱かった!
翌日の6月29日は男女エリート。国内トップレベルの選手達による戦いの火ぶたがいよいよ切られる。見る方も心してかからないといけない。