先日ソニーの「FE 35mm F1.8」を入手。価格は新品で6万円しないくらい。毎度のことながら不要になったあれこれを売って予算は捻出した。2019年発売のこの新しいレンズは、ソニーにとって次世代の標準単焦点レンズと言うか、いわゆる『撒き餌レンズ』的なものになるんじゃないかと思う。
付属品はフードと前後キャップ。ケースの類はないので、必要な人は別途購入することになる。フードは樹脂製。ボディは金属と樹脂が混在しており、マウントは金属製。質感ガーとか、高級感ガーとか言う価格じゃないけど、ツクリがちゃんとしているのは伝わってくるから、何も問題ない。鏡筒の左側にはフォーカスホールドボタンとAF/MF切り替えスイッチがある。手ブレ補正や防塵防滴性能はない。
SONY FE 35mm F1.8 (SEL35F18F) と外箱 (c)Bisoh
左側にはAF/MF切り替えスイッチとフォーカスホールドボタンがある (c)Bisoh
フィルター径は55mm (c)Bisoh
フードとSEL35F18F本体 (c)Bisoh
*1 撮像素子がAPS-Cサイズのレンズ交換式デジタルカメラ装着時の35mm判換算値(mm)
α9にSEL35F18Fを装着したところ (c)Bisoh
横から (c)Bisoh
上から (c)Bisoh
右斜め上から (c)Bisoh
正面から (c)Bisoh
サイズは、フードを装着した状態だとやや長めに感じる。逆にフードを外すとコンパクトさに感じられるので、行き先や用途により、外して出かけるのもあり。
鏡筒は、持ったときに丁度良い長さ (c)Bisoh
フードを外すとレンズ自体のコンパクトさを実感できる (c)Bisoh
フードを外すと、より扱いやすいサイズ感に (c)Bisoh
フードなしで横から見たところ (c)Bisoh
カメラごと手のひらに載る (c)Bisoh
そのほか、実際の持ち運ぶ場面を想定してフードあり/なしの重量やキャップ付きの重量も測った。このへんは写真でどうぞ。
SEL35F18F本体とフードと前後レンズキャップ込みで320g (c)Bisoh
SEL35F18F本体のみは281g。ほぼカタログ値通り (c)Bisoh
フードは17g (c)Bisoh
フード+SEL35F18Fで289g (c)Bisoh
α9+フード付きSEL35F18F=977g。1kg切る重さ (c)Bisoh
サイズ比較。左からSEL2470Z、SEL35F18F、SAMYANG AF 28mm F1.8 FE (c)Bisoh
風雨に終始大きく煽られていたコスモスもAF-C(トラッキング:フレキシブルスポット)でしっかり捉えられた(F1.8、1/160、ISO400) (c)Bisoh
AFも速い。α9に装着してAF-Cにすると、わずかなモーターの駆動音とともに、スパっとピントが来る。DMFやAF-Sの時は「カ、カッ」と言う、少し目立つ動作音とともにフォーカシングし、ピントが合うまでに0コンマ数秒〜1秒程度と、体感出来るレベルでタイムラグが生じる。
このあたりは他の純正レンズでも、音こそ違えど似た挙動なので、α9と言うか、ソニーのミラーレス一眼カメラで全体的にそうなのかもしれない。動体捕捉やフレーミングの自由度にソニーが心血を注いでいると言うことかなと。いずれにせよ何度か持ち出した中で、このレンスに対してストレスを感じる事はなかった。
まずはミニフィグの写真。絞り開放(F1.8)かつ最短撮影距離で撮影したもの。ミニフィグが約4cmくらいなので、やはりなかなかの寄れっぷり。拡大してみると、合焦面の解像もしっかりしていることがわかる。
ほぼ最短撮影距離で撮影したレゴのミニフィグ(F1.8、1/160、ISO400) (c)Bisoh
中央付近の合焦面は、良好な解像 (c)Bisoh
歪曲については、わずかに糸巻き型となるものの、パっと見てわかるようなものではなく、非常に穏やか。水平/垂直の直線の多い被写体でなければ、画面の隅が削られる歪曲補正は無理に適用しなくても良いかなと思える。一方で周辺減光は、四隅でそれなりに顕著に出る。こちらは気になるものだけソフトウェア補正でどうにかすべし。
ボケも前後とも綺麗で、好みはあるだろうけど、汚いとかうるさいとか、そういう感想を持ったショットはなかった。
前ボケも後ボケもなめらか。雷鳥の印刷の網点もちゃんとわかる(F1.8、1/160、ISO640) (c)Bisoh
綺麗なボケ味。立体感もしつこすぎない(F1.8、1/160、ISO400) (c)Bisoh
こんな事を書くと、古くから写真をやっている人には「いや、標準レンズは50mmだ」と言う方もいるだろう。しかし、今どき写真はスマホで撮れる。カメラも写真も、もはやプロや愛好家だけのものではない。なので、その多く人達の持っているスマホの標準画角である35mm前後が、広く一般に「標準レンズ」と呼ぶにふさわしいのでは、と自分は感じている。
それに焦点距離が50mm前後のレンズは、最短撮影距離が40cm以上あるものが普通で、近接撮影には向かない。けれど、このレンズは22cmまで寄れるから、全くそういう事がなく、テーブルフォトにも持ってこい。35mmの画角も相まって、座ったまま自分の前にある食事を画面内に収められる。
座ったままサクサクとテーブルフォトを撮れる(F1.8、1/80、ISO200) (c)Bisoh
広角気味かつ寄れるので、テーブル上の飲食物も思った通りにフレーミング出来る(F4、1/80、ISO800) (c)Bisoh
夜の街を歩く途中、一瞬立ち止まって撮るにもF1.8の明るさはありがたい(F1.8、1/80、ISO800) (c)Bisoh
自分は、画質や使い勝手を含めた総合力で、SEL35F18Fに価格以上の満足感が得られた。最高を求めるならツァイスのF1.4やシグマのF1.4かF1.2があり、絶対的にはそちらがベストなんだろうと思う(ちゃんと使ったことないけれどね…)。
でもSEL35F18Fだって、価格面から見て全体のバランスに不足はない。むしろ最高では、とさえ思う。前回レビューしたSAMYANG AF 18mm F2.8 FEとともに、カバンの中にいつでも放り込んでおきたくなるフルサイズ対応単焦点レンズなのは間違いなし。
付属品はフードと前後キャップ。ケースの類はないので、必要な人は別途購入することになる。フードは樹脂製。ボディは金属と樹脂が混在しており、マウントは金属製。質感ガーとか、高級感ガーとか言う価格じゃないけど、ツクリがちゃんとしているのは伝わってくるから、何も問題ない。鏡筒の左側にはフォーカスホールドボタンとAF/MF切り替えスイッチがある。手ブレ補正や防塵防滴性能はない。




SONY FE 35mm F1.8 (SEL35F18F) スペック
表は、ソニー公式ウェブサイトから抜粋してちょっと整形し直したもの。名称 | FE35mmF1.8 |
---|---|
型名 | SEL35F18F |
レンズマウント | ソニー Eマウント |
対応撮像画面サイズ | 35mmフルサイズ |
焦点距離(mm) | 35 |
焦点距離イメージ(mm) *1 | 52.5 |
レンズ構成(群-枚) | 9-11 |
画角(APS-C) *1 | 44° |
画角(35mm判) | 63° |
開放絞り(F値) | 1.8 |
最小絞り(F値) | 22 |
絞り羽根(枚) | 9 |
円形絞り | ○ |
最短撮影距離(m) | 0.22 |
最大撮影倍率(倍) | 0.24 |
フィルター径(mm) | 55 |
手ブレ補正 | - (ボディ側対応) |
テレコンバーター(1.4x) | 非対応 |
テレコンバーター(2.0x) | 非対応 |
フードタイプ | 花形バヨネット式 |
外形寸法 最大径x長さ(mm) | 65.6 x 73 |
質量 約 (g) | 280 |
付属品 | |
フード(型名) | ALC-SH159 |
レンズフロントキャップ | ◯ALC-F55S |
レンズリヤキャップ | ◯ALC-R1EM |
ケース | - |
*1 撮像素子がAPS-Cサイズのレンズ交換式デジタルカメラ装着時の35mm判換算値(mm)





重量とサイズ感
公称値は280g。我が家のキッチンスケールで測っても281gとなり、実測値もほぼ同じだった。実際持ってみると程よい重量感で、カメラにマウントした際のバランスも良く、片手でもホールドしやすい。サイズは、フードを装着した状態だとやや長めに感じる。逆にフードを外すとコンパクトさに感じられるので、行き先や用途により、外して出かけるのもあり。





そのほか、実際の持ち運ぶ場面を想定してフードあり/なしの重量やキャップ付きの重量も測った。このへんは写真でどうぞ。






使い勝手は抜群
SEL35F18Fの使い勝手はEマウント用単焦点レンズの中でも群を抜いていると思う。F1.8の明るさ、広め35mmの画角、22cmの最短撮影距離、そして280gと言う軽さ。フードを外せば、フルサイズセンサー対応レンズとしてはとてもコンパクト。フォーカスリングやボタン類のサイズや位置も適切で、AFからMFへと、とっさに切り替えたりする場面でも操作が手早く行え、戸惑うことは全くなかった。
AFも速い。α9に装着してAF-Cにすると、わずかなモーターの駆動音とともに、スパっとピントが来る。DMFやAF-Sの時は「カ、カッ」と言う、少し目立つ動作音とともにフォーカシングし、ピントが合うまでに0コンマ数秒〜1秒程度と、体感出来るレベルでタイムラグが生じる。
このあたりは他の純正レンズでも、音こそ違えど似た挙動なので、α9と言うか、ソニーのミラーレス一眼カメラで全体的にそうなのかもしれない。動体捕捉やフレーミングの自由度にソニーが心血を注いでいると言うことかなと。いずれにせよ何度か持ち出した中で、このレンスに対してストレスを感じる事はなかった。
実写レビュー
作例は上の写真も含め、全てRAWで撮影し、Lightroomで読み込み、補正なしの撮って出し。まずはミニフィグの写真。絞り開放(F1.8)かつ最短撮影距離で撮影したもの。ミニフィグが約4cmくらいなので、やはりなかなかの寄れっぷり。拡大してみると、合焦面の解像もしっかりしていることがわかる。


歪曲については、わずかに糸巻き型となるものの、パっと見てわかるようなものではなく、非常に穏やか。水平/垂直の直線の多い被写体でなければ、画面の隅が削られる歪曲補正は無理に適用しなくても良いかなと思える。一方で周辺減光は、四隅でそれなりに顕著に出る。こちらは気になるものだけソフトウェア補正でどうにかすべし。
ボケも前後とも綺麗で、好みはあるだろうけど、汚いとかうるさいとか、そういう感想を持ったショットはなかった。


最初の単焦点レンズをどれにしようか迷ったらこれ
自分としては、これを標準画角の単焦点レンズとして最初の1本にお勧めしたい。こんな事を書くと、古くから写真をやっている人には「いや、標準レンズは50mmだ」と言う方もいるだろう。しかし、今どき写真はスマホで撮れる。カメラも写真も、もはやプロや愛好家だけのものではない。なので、その多く人達の持っているスマホの標準画角である35mm前後が、広く一般に「標準レンズ」と呼ぶにふさわしいのでは、と自分は感じている。
それに焦点距離が50mm前後のレンズは、最短撮影距離が40cm以上あるものが普通で、近接撮影には向かない。けれど、このレンズは22cmまで寄れるから、全くそういう事がなく、テーブルフォトにも持ってこい。35mmの画角も相まって、座ったまま自分の前にある食事を画面内に収められる。



自分は、画質や使い勝手を含めた総合力で、SEL35F18Fに価格以上の満足感が得られた。最高を求めるならツァイスのF1.4やシグマのF1.4かF1.2があり、絶対的にはそちらがベストなんだろうと思う(ちゃんと使ったことないけれどね…)。
でもSEL35F18Fだって、価格面から見て全体のバランスに不足はない。むしろ最高では、とさえ思う。前回レビューしたSAMYANG AF 18mm F2.8 FEとともに、カバンの中にいつでも放り込んでおきたくなるフルサイズ対応単焦点レンズなのは間違いなし。
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