サイクルモードで出会ったマルコ・パンターニ、最速でラルプ・デュエズを制した伝説のバイク

2014/11/29(土) - 20:12 | bisoh
去る11月8日、毎年恒例のサイクルモードへ行った。「サイクルどうも」とはうちの奥さんの洒落だが、自転車業界に生きる人間としては納得の言い回しで笑ってしまった。そんな晩秋の大展示会にとんでもないバイクが海を渡って日本にやってきていた。伝説のヒルクライマー、マルコ・パンターニのバイクだ。

ウィリエールブースで出会ったマルコ・パンターニのバイクウィリエールブースで出会ったマルコ・パンターニのバイク (c)Bisoh
今年はマルコ・パンターニ没後10年。彼が天に召された2004年、いまや自転車界を追われたランス・アームストロングがその年のラルプ・デュエズを制した。その一発勝負のタイムトライアルですら破られなかったマルコ・パンターニの史上最速タイムを刻んだバイクがこれだ。

自分がツール・ド・フランスを見るために自転車旅行をし、ラルプ・デュエズを登頂したのが2004年。TGVに乗り合ったアメリカ人とグルノーブル駅から2人で走った。憧れだったパンターニは、その時すでにこの世の人ではなかったけれど、こんな形で彼の一部とも言える自転車に会えるとは思いもしなかった。

ウィリエールブースに並んで展示された1997年マルコ・パンターニの伝説的バイク2台ウィリエールブースに並んで展示された1997年マルコ・パンターニの伝説的バイク2台 (c)Bisoh

これが1997年のラルプ・デュエズを制したマルコ・パンターニのバイクこれが1997年のラルプ・デュエズを制したマルコ・パンターニのバイク (c)Bisoh
その風貌から『イル・ピラータ(海賊)』と称されたパンターニ。ラルプ・デュエズは1995年と1997年に制しており、このバイクは1997年のもの。その時記録した37分35秒という登坂タイムはいまだに破られていない。

何がすごいかと言うと、彼の記録に1秒差と迫ったアームストロングはこの区間のみのTTで記録したのに対し、パンターニは長距離を走るロードレースの最後の登坂でこれを記録したこと。映像で見ると、今でもその速さに圧倒される。

ダウンチューブに入った海賊マークダウンチューブに入った海賊マーク (c)Bisoh限定販売もされたマルコ・パンターニのサドル。これは本物!限定販売もされたマルコ・パンターニのサドル。これは本物! (c)Bisoh

フロント駆動系はFD/FC-7700、ペダルはLOOK KEO、かなフロント駆動系はFD/FC-7700、ペダルはLOOK KEO、かな (c)Bisoh「PANTANI」の名入りのトップチューブが眩しい「PANTANI」の名入りのトップチューブが眩しい (c)Bisoh

イエローメタルなヘッドマークがフレームにマッチしているイエローメタルなヘッドマークがフレームにマッチしている (c)BisohDURA-ACE ST-7700のついたハンドルバー。バーテープの色褪せぶりが戦歴を物語るDURA-ACE ST-7700のついたハンドルバー。バーテープの色褪せぶりが戦歴を物語る (c)Bisoh

そしてもう片方は1997年に使用されたパンターニのタイムトライアルバイク。今やレギュレーションで禁止され、レースでは見られなくなった前後輪のホイールサイズが違うファニーバイク。解説のキャプションには彼の汗の跡がトップチューブに残っているとあった。

このバイクの珍しい点は形だけでなく、ステム一体型エアロハンドルの中央にも海賊マークが入っているところ。トップチューブのマークと対になっているのだけど、色味はもちろん、タッチそのものもだいぶ違っていて面白い。

1997年ツールのTTで使用されたマルコ・パンターニのファニーバイク1997年ツールのTTで使用されたマルコ・パンターニのファニーバイク (c)Bisoh
こちらも海賊サドル。トップチューブに「PANTANI」こちらも海賊サドル。トップチューブに「PANTANI」 (c)Bisoh縦読みできるようにシートチューブに入った「WILIER」のタイポ縦読みできるようにシートチューブに入った「WILIER」のタイポ (c)Bisoh

サイクルコンピューターのセンサーまでそのままサイクルコンピューターのセンサーまでそのまま (c)Bisoh斜めにレイアウトされたメルカトーネウノのロゴ斜めにレイアウトされたメルカトーネウノのロゴ (c)Bisoh

エアロハンドルのステム部分に入った海賊マークエアロハンドルのステム部分に入った海賊マーク (c)Bisohフレームにも海賊マークが入っているフレームにも海賊マークが入っている (c)Bisoh

マルコ・パンターニは、その生涯が死によって神格化されすぎている面は否めないものの、やはり自分にとっても別格の存在と言って過言でない。そんな彼を伝説とせしめたバイクを見られたのは、幸運と言う他ない。このバイクを日本に持ち込むことに尽力された服部産業の方々に敬意を表したい。

そしてこの日はもう1人の伝説的レーサー、グレッグ・レモン氏にも短時間ながらお近付きできて光栄だった。挨拶を交わした際「カミヤマと同じファーストネームだね」と日本競輪界のレジェンドを挙げてくれた彼のカメラと僕のカメラが、同じSony α6000だったことも最後に記しておきたい。