いきなりだけども、この本、先日紹介した『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』と同時に書店で購入した本である。生物系のコーナーでふと表紙と帯に魅かれ、ビニールがかかっていたため中身を確かめることなく買ってしまった。
しかし家に帰って開いてみると、期待を裏切ることのない世界が広がっていた。
本書のどこを開いても、美しい昆虫達が大に小にと彩を放っている。その作品群は、よくあるデジタルコラージュなどではなくて、全て実物の昆虫を収集して構成したものだと言うから驚き!
そんな著者は、子供時代は虫ぎらいだったと言うから面白い。10ページ目からはそんな彼が虫マニアとなり、作品展を開いたり、この作品集を作り上げるまでに至った過程が語られている。作品展では「この色は本物? それともあなたが塗ったのか?」と聞かれたり、あからさまに疑わしいという顔をする人もいたそうだ。
そして、これに加えて興味深かったのが「脚」のハナシ。
マーレーは、人が虫たちに嫌悪感や恐怖心を抱く原因は「脚」にあると語る。人が無害に思える虫はたいてい脚が見えないのだとか。テントウムシやチョウやダンゴムシ、と言った種を例に挙げていた。逆の代表例としてはクモ。自分はクモ好きなんだけど、確かに普通の人は気持ち悪いと言うことが多い。
だから彼の甲虫のモザイク的な作品は、昆虫の脚を体の下にたくしこんでいるのだそうだ。その宝石のような体を幾何学的に整えて並べることで「恐怖の衣のなかから畏怖の念が自然と出てきて、自然の素晴らしい多様性の見本と同じ空間を占めるようになるはずだ」と語っている。
本書で昆虫の生態そのものを知ることは出来ないが、どこのどういった昆虫かといった紹介がある程度なされており、それを元に別の資料を当たることは可能となっている。
標本となった昆虫をアートとして見せる試みは、ある人には命を弄んでいるようにも見えるだろうし、万人に受け入れられるものではないと思う。実際「おぞましい」「狂気」「傲慢」と言った評も見た。そういった反応もまた正しいものだ。
ただ、人は皆自らの都合によって他の種を大量に殺して生きているし、そうせずに生きられる人などただの1人もいない。そういう事実を無視して、自分だけがさも高みにいるかのように本書を断じる行為には違和感を覚える、とだけは言っておきたい。
マーレー自身は単に作品としての美を追求しているだけでなく、虫を愛し、彼らの多様性も伝えようとしている。このことは写真だけでなく、本文や後段の解説を読めば理解出来るはず。虫好きには、虫の造形や美しさに魅かれてその世界に入っていった人達も多い。扉を閉ざさなければ、本書は新しい世界の入口としての役割を、十分に果たすものだと思う。
しかし家に帰って開いてみると、期待を裏切ることのない世界が広がっていた。
本書のどこを開いても、美しい昆虫達が大に小にと彩を放っている。その作品群は、よくあるデジタルコラージュなどではなくて、全て実物の昆虫を収集して構成したものだと言うから驚き!
そんな著者は、子供時代は虫ぎらいだったと言うから面白い。10ページ目からはそんな彼が虫マニアとなり、作品展を開いたり、この作品集を作り上げるまでに至った過程が語られている。作品展では「この色は本物? それともあなたが塗ったのか?」と聞かれたり、あからさまに疑わしいという顔をする人もいたそうだ。
そして、これに加えて興味深かったのが「脚」のハナシ。
マーレーは、人が虫たちに嫌悪感や恐怖心を抱く原因は「脚」にあると語る。人が無害に思える虫はたいてい脚が見えないのだとか。テントウムシやチョウやダンゴムシ、と言った種を例に挙げていた。逆の代表例としてはクモ。自分はクモ好きなんだけど、確かに普通の人は気持ち悪いと言うことが多い。
だから彼の甲虫のモザイク的な作品は、昆虫の脚を体の下にたくしこんでいるのだそうだ。その宝石のような体を幾何学的に整えて並べることで「恐怖の衣のなかから畏怖の念が自然と出てきて、自然の素晴らしい多様性の見本と同じ空間を占めるようになるはずだ」と語っている。
本書で昆虫の生態そのものを知ることは出来ないが、どこのどういった昆虫かといった紹介がある程度なされており、それを元に別の資料を当たることは可能となっている。
標本となった昆虫をアートとして見せる試みは、ある人には命を弄んでいるようにも見えるだろうし、万人に受け入れられるものではないと思う。実際「おぞましい」「狂気」「傲慢」と言った評も見た。そういった反応もまた正しいものだ。
ただ、人は皆自らの都合によって他の種を大量に殺して生きているし、そうせずに生きられる人などただの1人もいない。そういう事実を無視して、自分だけがさも高みにいるかのように本書を断じる行為には違和感を覚える、とだけは言っておきたい。
マーレー自身は単に作品としての美を追求しているだけでなく、虫を愛し、彼らの多様性も伝えようとしている。このことは写真だけでなく、本文や後段の解説を読めば理解出来るはず。虫好きには、虫の造形や美しさに魅かれてその世界に入っていった人達も多い。扉を閉ざさなければ、本書は新しい世界の入口としての役割を、十分に果たすものだと思う。
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