ソニー『α9』速攻レビュー2 抜群の連写&追尾能力に加え、暗所&高感度にもかなり強し

2017/05/28(日) - 02:21 | bisoh
購入翌日の夕方、ソニーα9のテスト撮影をしてきた。先に書くと、撮影結果は本当に満足行くもので、改めてα9の良さを実感出来た。たいした写真はないけれど、日中の動体追従、暗所の動体追従、暗所AFや高感度での解像力など、なんとなくわかると思うので参考にどうぞ。

全ての写真はJPEG+RAWで撮り、Photoshop LightroomでRAW現像。自分が作った汎用プリセットを適用した程度。貧弱サーバにつき、ピクセル等倍で写真全体をアップするのは無理なので、必要と思った写真だけ部分的に等倍切り出しを行った。

電車をAF-Cで連写

薄曇りの夕方に西武多摩湖線沿いで連写とAF追従のテスト。SEL70300Gを使い、連写速度はHi(電子シャッターでの20コマ/秒)ISO感度はAUTO。踏切近くの歩道脇と、歩道橋の上からの2箇所で撮影してみた。特に鉄道好きと言うわけではないのでどこでどう撮るか迷ったけれど、道行く人に迷惑がかからない場所を選びつつ、無難な感じには撮れた。

結果、日中のAF追従と連写には文句なし。ブラックアウトフリーとミラーショックフリーで非常に被写体も追いやすい。歩留まりについては、自分の起こしたわずかな手ブレによって数枚無駄にしたくらいで、カメラ自体はしっかり被写体を捉えてくれていた。

AF-Cで柱の間から撮る西武多摩湖線車両。20コマ/秒の威力で、しっかり顔を覗かせた瞬間を捉えられたAF-Cで柱の間から撮る西武多摩湖線車両。20コマ/秒の威力で、しっかり顔を覗かせた瞬間を捉えられた (SONY ILCE-9 + SEL70300G (196mm 1/800sec F5.6 ISO800)) (c)Bisoh
電車の正面が切れかけてもAFが食いついている電車の正面が切れかけてもAFが食いついている (SONY ILCE-9 + SEL70300G (196mm 1/800sec F5.6 ISO800)) (c)Bisoh

逆側から来た白い西武多摩湖線車両逆側から来た白い西武多摩湖線車両 (SONY ILCE-9 + SEL70300G (300mm 1/800sec F5.6 ISO1250)) (c)Bisoh
陸橋の上から撮った西武多摩湖線車両陸橋の上から撮った西武多摩湖線車両 (SONY ILCE-9 + SEL70300G (259mm 1/800sec F5.6 ISO1000)) (c)Bisoh電車は面で向かってくることもあって歩留まりはかなり良い電車は面で向かってくることもあって歩留まりはかなり良い (SONY ILCE-9 + SEL70300G (259mm 1/800sec F5.6 ISO800)) (c)Bisoh

西武国分寺駅へ向かう多摩湖線車両西武国分寺駅へ向かう多摩湖線車両 (SONY ILCE-9 + SEL70300G (259mm 1/800sec F5.6 ISO800)) (c)Bisoh

解像力も文句なし

低感度域で、SEL70300G(FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS)を使って遠景建造物の撮影テスト。ほんのわずか画にゆらぎがあるのは、遠景ゆえに空気層の屈折により起こっているものと思われる。F5.6解放値での撮影だったけれども、画面の端までしっかり解像している。

もちろんこれについてはレンズの能力も出るわけで、SEL70300Gも解像力に優れた良いレンズだと言える。ただしSEL70300Gは開放値がF4.5〜5.6なので、大きなボケを求める人には物足りないかな。でも90cmまで寄れるし、本当に使い勝手が良い。

国分寺駅前に出来つつあるツインタワーを歩道橋の上から、電子水準器を使用しての撮影国分寺駅前に出来つつあるツインタワーを歩道橋の上から、電子水準器を使用しての撮影 (SONY ILCE-9 + SEL70300G (220mm 1/800sec F5.6 ISO320)) (c)Bisoh
ツインタワー写真、右側のタワーの上の方のピクセル等倍切り出しツインタワー写真、右側のタワーの上の方のピクセル等倍切り出し (c)Bisoh
ツインタワー写真の画面右下のピクセル等倍切り出しツインタワー写真の画面右下のピクセル等倍切り出し (c)Bisoh
近景から遠景まで、SEL70300Gは綺麗に撮れる近景から遠景まで、SEL70300Gは綺麗に撮れる (SONY ILCE-9 + SEL70300G (172mm 1/800sec F5.6 ISO640)) (c)Bisoh

マニュアルフォーカスのツァイスレンズを借りて撮る

全く想定していなかったレンズの撮影機会を得たので掲載。いつも行くコーヒースタンド『Life Size Cribe』にて、たまたま居たお客さんがソニーα7IIにMマウントのCarl Zeiss C Sonnar 1.5/50ZMを付けていたので、お借りしてカフェラテをマニュアルフォーカスで撮影。

ちなみにMF時の拡大サポートは使わず。この機能は拡大中に構図がわからなくなってしまうので、手持ち撮影の時はずっとオフにしていて、そもそもこういうMFオンリーの他社製レンズにも対応しているのか確認してなかったり。でも、α9のEVFは高解像度かつ高FPSのため、比較的ピントが合わせやすくて助かった。

それにしても良いレンズ。マウントアダプターを介して他社製レンズを使えるのもαシリーズの楽しさ。この場を借りて、ありがとうございました。

行きつけのコーヒースタンドで。たまたま居合わせたα7IIを持っていたお客さんのMマウントレンズを借りて撮る行きつけのコーヒースタンドで。たまたま居合わせたα7IIを持っていたお客さんのMマウントレンズを借りて撮る (Carl Zeiss C Sonnar 1.5/50ZM (50mm 1/800sec F2.8 ISO3200)) (c)Bisoh
もう1枚カフェラテもう1枚カフェラテ (Carl Zeiss C Sonnar 1.5/50ZM(50mm 1/800sec F2.8 ISO1000)) (c)Bisohお客さんのα7IIとCarl Zeiss C Sonnar 1.5/50ZMお客さんのα7IIとCarl Zeiss C Sonnar 1.5/50ZM (SONY ILCE-9 + SEL2470Z (58mm 1/320sec F4.0 ISO6400)) (c)Bisoh

いつ行っても楽しいお店、Life Size Cribeいつ行っても楽しいお店、Life Size Cribe (SONY ILCE-9 + SEL2470Z (24mm 1/80sec F4.0 ISO5000)) (c)Bisoh

場面によって使い分けられるオートホワイトバランスが有能

α9とα6500についている3種類のオートホワイトバランス(AWF)が本当に使いやすい。もうこれだけでいいんじゃない?って思うくらい。実際にはそうもいかないけれど、日常のスナップならこの3つだけでもたっぷり遊べる。特にホワイト優先は、被写体の白をちゃんと出したい時には有効。

オートホワイトバランス:標準オートホワイトバランス:標準 (c)Bisoh
オートホワイトバランス:雰囲気優先オートホワイトバランス:雰囲気優先 (c)Bisohオートホワイトバランス:ホワイト優先オートホワイトバランス:ホワイト優先 (c)Bisoh

暗所&超高感度域での動体追従撮影もOK

帰り道に、夜の西武多摩湖線車両を常用感度上限のISO25600で撮影。さすがに粗いけれど、これだけ撮れれば大丈夫。2000ピクセル程度まで落としてPCの画面で見るくらいなら実用範囲内に収まる。

もちろんAF-Cはどんな条件でもビシバシ来るわけではなく、被写体への照明の当たり具合を見て判断すれば、ちゃんと効いてくれる、と言うこと。α6500だとこういった暗所でのAF-Cはまず無理なんだけど、α9は諦める必要がないのでありがたい。

夜の西武多摩湖線、ISO25600でAF-C夜の西武多摩湖線、ISO25600でAF-C (SONY ILCE-9 + SEL70300G (94mm 1/320sec F5.0 ISO25600)) (c)Bisoh
照明があたっている場所を狙えば、すぐにフォーカスが来て追従する照明があたっている場所を狙えば、すぐにフォーカスが来て追従する (SONY ILCE-9 + SEL70300G (94mm 1/320sec F5.0 ISO25600)) (c)Bisoh
ISO25600のフォーカスポイント近辺のピクセル等倍切り出しISO25600のフォーカスポイント近辺のピクセル等倍切り出し (c)Bisoh

暗所AFの強さや広範囲に渡るフォーカスポイントは撮影の楽しみを拡げてくれる

動体追従までは無理でも、こんな暗い場所でもAFのピントが来るよって言う例を1つ。スポルティーフのクランクを隣室から漏れる明かりだけで撮影した写真。

ただ、木材的な色?はなんとなく苦手な雰囲気で、もうちょっと明るい場所でコントラストがある部分を狙ってもAFが迷う事がある。上に登場したLife Size Cribeのデコボコした木の壁面などでも時折起きていた。ナゾ。

これだけ暗所でも被写体によってはスパッとAFが来る。木の色はちょっと苦手な感じこれだけ暗所でも被写体によってはスパッとAFが来る。木の色はちょっと苦手な感じ (SONY ILCE-9 + SEL70300G (300mm 1/50sec F5.6 ISO6400)) (c)Bisohフォーカスポイントを右上端に移動して撮影。現行のフルサイズ一眼レフはこんな端までフォーカスポイントがない。α9の利点の1つフォーカスポイントを右上端に移動して撮影。現行のフルサイズ一眼レフはこんな端までフォーカスポイントがない。α9の利点の1つ (SONY ILCE-9 + SEL70300G (120mm 1/125sec F5.6 ISO2500)) (c)Bisoh

α9は、693点の像面位相差検出AFセンサーにより、画面の端までピントを合わせられるところも嬉しい。今まで使っていたEOS 5D Mark IIIは画面の中央寄りにしかフォーカスポイントがない。そのため、画面の端の方にピントを合わせようとした場合には、中央寄りにしかないフォーカスポイントで一旦ピントを合わせ、カメラを動かして構図を作る、という事が必要だった。この動きでピント位置がズレてしまう事もあるのだけど、α9なら先に構図を作ってからフォーカシング出来るので、ピントがズレる心配もない。

で、最後は唐揚げをISO16000で。室内で被写体ブレなく撮ろうとするとシャッタースピードを上げる必要が出て来るわけだけど、ISO16000でもこれだけ綺麗に撮れるという見本。経験上、これより低いISO12800やISO6400の画質は、屋内や夜間のライブや演劇撮影の大半で、普通に許容範囲としてもらえると思う。被写体がしっかり止まって撮れてる方が大事なので。

ISO16000で撮られる唐揚げISO16000で撮られる唐揚げ (SONY ILCE-9 + SEL70300G (300mm 1/320sec F5.6 ISO16000)) (c)Bisoh
ISO16000な唐揚げのピクセル等倍切り出しISO16000な唐揚げのピクセル等倍切り出し (c)Bisoh

サイレントシャッターが本当に無音

電子シャッター時の音は、作られた電子音を発生させてるだけなので、これをオフにすれば聞こえるのは、微かなレンズのフォーカシング音と手ブレ補正の音のみ。その上この状態で20コマ/秒の撮影が出来る。これまた音に気を使いまくる舞台撮影などでは、必ず使う機能。



テスト撮影した写真はこれにておしまい。今後のお仕事などでしっかり使っていくために、自分の中でα9の性能に納得出来たのが何より。各種設定も自分好みにカスタマイズして、操作にも慣れることが出来た。

α9には「これは無理」と言う場面がほとんどないし、フルサイズセンサーのレンズ交換式カメラにしてはかなり軽くてコンパクトなので、普段使いでも今までより気軽に持ち出せる。正直言うともう1台欲しいなあと…。また頑張ってお金貯めよう。